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競輪はじめて物語
第4回「潜入!ザ・審判室」 立川競輪場の判定の早さは全国No.1。数センチの差だって即座に見分けます!
厳正で厳粛で厳格なる“ザ・審判室”
ソルトレーク五輪では審判の判定が大きな疑惑と混乱を招いたが、同じことがギャンブル界で起きたら一大事である(お金がらみだからね)。そこで、競輪ではどのように判定を行っているのか、立川競輪場にお願いして特別に見せてもらった。
ガラス張りのメインスタンドを見上げると、一番上の中央にポッカリとガラスの無い空間がある。カメラらしきレンズが光り、黒い人影がチラホラ……。それこそは、厳正で厳粛で厳格なる“ザ・審判室”である。地上5階にある審判室は、バンク全体を見渡すには最高だが、窓辺に立つとガラスは無いわ、柵も無いわで、非常に怖い。室内にはゴール映像をとらえる“スーパースロー”というごっついカメラやら、たくさんのモニターやら機材がズラリと並んでいる。
レースの監視は主に目視とビデオによる。審判室では、バンクの4ヵ所に立つ審判員と無線でコンタクトをとりながら、同時にビデオでもチェックする。このビデオが優れモノで、DVDみたいなものなのか、録画しつつも巻戻しや再生が自由自在だ。しかも2台あるからナマ映像の方もバッチリ。レース中でもリプレーできるから、ゴール後、すぐに違反の有無を確定できるというわけだ。
ゴールの瞬間からの15秒。写真室を守るベテランの技が光る。
で、気になる着順の判定はというと、こちらはさらに上階にある写真室との連係プレーである。競馬や陸上競技と同じ特殊カメラでゴールの瞬間を撮影し、フィルムを現像して審判室のモニターに表示する。この間、わずか15秒。熟達したベテランでなければこうはいかないそうだ。
ちなみに判定写真のスリットは1/200秒きざみ。実際の長さでいうと10cm間隔くらいだという。大きく引き延ばせば1cmほどの差も見分けることができる。すっごい精度である。ついでに1/200秒が10cmということは、その時速はナント72km/h!サラブレッドが60km/h、競艇は80km/hというから、恐るべき人力である(ちなみにスケートの清水宏保選手は60km/hで滑ってるらしい……)。
競輪を支えるプロフェッショナル達。
とまあ、総勢30名もの審判スタッフが見事に連携し、通常、ゴールしてわずか20~30秒後には着順が発表されるというから驚きである。「万全を期すとともに、一刻も早く結果をファンに知らせることが大切です」という審判長の長野さん。全国の競輪場の中でも立川はナンバーワンの呼び声が高い。
「ただし落車とか故障とか、すんなりいかない場合もありますけどね。ま、もう1レース見ていってくださいよ」と勧められて、次のレースも見学していると、タイミング良く(悪く?)、本当に4台がぐしゃぐしゃと転倒する事故が起きてしまった。すごい修羅場に居合わせたもんだが、審判員の方々は通常の3倍速で動きながらも、このときばかりは“早さ”ではなく、執拗なばかりに“正確さ”を追及しておりました。裏方として競輪を支える彼らに、拍手!
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